記事の概要
本記事では、AWSとGCP(Google Cloud)のサーバ環境の利用料金を比較してみます。
比較内容は、以下の3パターンでいずれもWeb環境を想定した構成としています。
- 単一サーバ構成(EC2,GCE)
- Web-DBシングル構成(EC2-RDS,GCE-CloudSQL)
- Web-DB冗長構成 (ELB-EC2-RDS,CLB-GCE-CloudSQL)
AWSとGCPの概要
AWSとGCPの概要は、下記ページの概要にて説明しています。
比較するにあたっての前提
AWSとGCPの各コンピューティングサービスの利用料金・コストを比較するにあたり、以下の前提で試算を行います。
- コンピューティングサービスは、「EC2」と「GCE」のほぼ同スペックで比較
- マネージドデータベースサービスは、「RDS」と「CloudSQL」のほぼ同スペックで比較
- ロードバランシングサービスは、「ELB」と「CLB」をWebサービス前提で比較
- AWSの料金は、オンデマンド・リザーブドで試算する
- GCPの料金は、オンデマンド(継続利用割引込み)・確約利用割引で試算する
- リージョンは、国内(東京リージョン)とする
- OSはCentOSとし、ディスクサイズは固定で50GBとする
- データ通信料・転送量、固定IP費用は加味しない
料金プランの簡単な説明
上記に記載した料金について、簡単に説明します。
AWS(オンデマンド)
オンデマンドとは、利用したインスタンスの時間に応じて課金される料金体系です。
そのため、利用しない時間帯は停止し、利用する時間だけ稼働させることでコスト削減を行うことができます。
ビジネスの場では、24時間利用する場合もオンデマンドを使うことが多いのですが、後述する料金体系のほうがさらにコストを削減できます。
AWS(リザーブド)
リザーブドは、1年間または3年間の利用を約束することで、オンデマンドに比べ大幅な割引を受けることができる料金体系です。
利用する年数に加え、最初に決めたスペックで利用し続ける「スタンダート」と、購入後も柔軟にスペック変更が可能な「コンバーチブル」のいずれかから料金プランを選択します。
料金は、原則前払いですが、一括である必要はありません。
組み合わせやスペックにもよりますが、最大で75%程度引きを受けることができます。
GCP(オンデマンド)
オンデマンドとは、利用したインスタンスの時間に応じて課金される料金体系です。
そのため、利用しない時間帯は停止し、利用する時間だけ稼働させることでコスト削減を行うことができます。
しかし、GCPの場合はAWSとちがい、「継続利用割引」という制度があります。これは、利用した時間が一定の割合を超えた場合に自動的に適用される割引です。つまり使えば使うほど勝手に割引がされる仕組みです。
スペックにもよりますが、最大で30%程度割引を受けることができます。
GCP(確約利用割引)
確約利用割引とは、GCP版リザーブドの料金体系です。
AWSと同様、1年間または3年間の利用を約束することで、オンデマンドに比べ大幅な割引を受けることができます。なお、継続利用割引と確約利用割引を組み合わせることはできません。
スペックにもよりますが、最大で70%程度割引を受けることができます。
AWSとGCPの比較
サーバ単一構成
まずはサーバ単一構成の場合で比較します。
EC2:m4.xlarge
GCE:n1-standard-4
オンデマンド
項目 | AWS | GCP |
コンピュート | $188.86 | $124.56 |
ディスク | $6.00 | $11.05 |
合計 | $194.86 | $135.61 |
リザーブド
項目 | AWS(1年) | AWS(3年) | GCP(1年) | GCP(3年) |
コンピュート | $118.75 | $80.97 | $112.10 | $80.07 |
ディスク | $6.00 | $6.00 | $11.05 | $11.05 |
合計 | $124.75 | $86.97 | $123.15 | $91.12 |
※AWSのリザーブドは、スタンダード一括払いとし、1か月あたりで計算
Web-DBシングル構成
次に、1台のWebサーバと1台のDBサーバの構成で比較します。
DBサーバには、マネージドサービスである「RDS」と「CloudSQL」を使います。
EC2:m4.xlarge
RDS:db.m5.xlarge
GCE:n1-standard-4
SQL:4CPU,16GB相当
オンデマンド
項目 | AWS | GCP |
コンピュート | $188.86 | $124.56 |
ディスク | $6.00 | $11.05 |
データベース | $361.61 | $274.06 |
ディスク | $6.9 | – |
合計 | $563.37 | $409.67 |
リザーブド
項目 | AWS(1年) | AWS(3年) | GCP(1年) | GCP(3年) |
コンピュート | $118.75 | $80.97 | $112.10 | $80.07 |
ディスク | $6.00 | $6.00 | $11.05 | $11.05 |
データベース | $233.25 | $166.1 | $274.06 | $274.06 |
ディスク | $6.9 | $6.9 | – | – |
合計 | $364.9 | $259.97 | $397.21 | $365.18 |
Web-DB冗長構成
最後に、WebサーバとDBサーバの冗長構成で比較します。
DBサーバには、マネージドサービスである「RDS」と「CloudSQL」を使います。
ELB:Application Load Balancer
EC2:m4.xlarge×2
RDS:db.m5.xlarge(Multi-AZ)
CLB:HTTP(S)負荷分散
GCE:n1-standard-4 ×2
SQL:4CPU,16GB相当(Hige Availability)
オンデマンド
項目 | AWS | GCP |
ロードバランシング | $17.79 | $27.75 |
コンピュート | $377.72 | $249.12 |
ディスク | $12.00 | $22.1 |
データベース | $723.22 | $548.13 |
ディスク | $13.8 | – |
合計 | $1,144.53 | $847.1 |
まとめ
ちゃんとした料金の試算を行ったことはなかったのですが、思いのほか差が出る結果でした。
Googleの確約利用割引が拡大していくと違うのかもしれないですが、現状はリザーブドがとても強いAWSに分があるようです。
WordPressのようにオンデマンドで個人利用する場合は、GCPで十分かと思います。
今度はコンテナとかも比較してみたいですね…ボソッ